近年、世間では「SDGs」というキーワードが話題となっています。
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2015年9月に国連サミットにおいて採択された国際目標で、2030年までを期限とし、貧困、エネルギー、成長・雇用、気候変動等、持続可能な社会の実現のための17の目標と169のターゲットから構成されます。
しかし、戦後自由主義に舵を切った現代の日本には目先の利益、生活、自分の得などを必要以上に重視するきらいがあり、本来日本であったサスティナブルな考え方が希薄になっています。さらに、日本は人口が減っており、全国で過疎化の問題が騒がれおり、環境や文化などを持続可能な仕組みに変え、伝統を守るのがとても大変です。
しかし、日本の「集落」・「地域」・そして「地球の持続可能な生活」に挑戦されているプロジェクトがあります。
宮城県石巻市牡鹿半島蛤浜(はまぐりはま)地区。
わずか10世帯にも満たない小さな集落には、もともと9世帯が住んでいたのですが、東日本大震災、台風を経て今は2世帯のみが暮らしている地域です。
そんな蛤浜に「はまぐり堂」というカフェがあります。蛤浜再生プロジェクトの一環として2013年5月にオープンしました。決して交通の便の良い場所ではありませんが、週末には100名以上が来客される、とても人気のカフェです。
今回、東北プロボノプロジェクトさんの企画「はまのねの想いと事業にふれる旅」に参加し、実際に蛤浜地区へお伺いし、はまのねプロジェクトの取り組みを見させていただきました。
この取り組みは今後、日本の「集落」・「地域」・そして「地球の持続可能な生活」のモデルケースになると確信しています。
本記事では、「はまのねの想いと事業にふれる旅」を通してその取り組みを紹介いたします。
本記事をお読みいただき、サスティナブルに関してもう一度再考いただき、自分達に何ができるか考えていただけたら幸いです。
そして、是非蛤浜を訪れてみて下さいね!
蛤浜とは
蛤浜は、牡鹿半島の入口にあり、宮城県石巻市の石巻駅から半島の曲がりくねった道を路線バスで約40分乗った先にあるとても小さな浜です。漁師が多い地域で、貝の形のように入江になってることから「はまぐり」浜という名前がついた由来があるそうです。
冒頭でご説明したように蛤浜はわずか9世帯が住んでいた小さな集落だったのですが、東日本大震災、台風を経て今は2世帯のみが暮らしている地域です。
小さな蛤浜は、高台の居住地を造成するだけの戸数が集まらず、残った建物の場所以外も災害危険区域に指定され、これ以上家を増やすことができないのだそうです。
カフェ「はまぐり堂」の紹介
築100年の民家を改築した海の見えるカフェ「はまぐり堂」。
「はまぐり堂」は、一般社団法人はまのね代表理事の亀山貴一さんが推進する「蛤浜プロジェクト」の中心施設としてつくられました。
「蛤浜プロジェクト」がスタートしたのは2012年3月。
蛤浜出身亀山さんは震災後に築約100年の生家をリノベーションして、はまぐり堂を立ち上げ、人口5人の蛤浜に15,000人以上を集客されました。
また、少ない世帯数でも暮らしを継続する仕組みを考え、2014年4月に一般社団法人はまのねを設立し、ものづくり、マリンレジャー6次産業化などにも取り組む。
「暮らし」「産業」「教育」を柱に、交流人口の増加を目指し、季節の食材を提供するカフェ&レストラン・子どもも大人も海に親しめるアクティビティー・浜の暮らしを体験できる宿など、地域課題を事業にし、未利用の山や海の資源、獣害が問題になっている鹿の活用など、里山の資源が循環するプランを描かれています。
本来の浜の暮らしの良さを引き出すために、はまぐり堂を起点に、漁村の新しい循環モデルを作り上げ、美しい風景・浜の豊かな暮らしを次の世代に残すためにご活躍されています。
ツアー「はまのねの想いと事業にふれる旅」ついて
旅の趣旨
今回は東北プロボノのプロジェクトの一環で、「はまのねの想いと事業にふれる旅」に参加させていただきました。
一般社団法人はまのねの「想い」と「事業」に触れ、蛤浜での「暮らし」を知り、体験することでより深くはまのねを知り、今後参加者自身がどう関わっていけるか追求する旅です。
今回のツアーでは「はまぐり堂」を中心にの林業、狩猟、漁業の6次産業化の取り組みを観、体験させていただきました。
筆者は林業、漁業の見学とはまぐり堂の料理体験を体験させていただきました。
東北プロボノプロジェクトとは
東北で「誰かのために、地域のために、社会のために」という純粋な想いを持ち、自分自身の心が喜ぶ事を大切にしながら自ら手を動かし、先陣を切る7名の起業家の傍らで、起業家の熱量を体感しながら手触り感のある仕事に取り組むプロジェクトです。
参加者自身が東北プロボノプロジェクトのメンバーで、主に首都圏の企業でバリバリ働く優秀な方々が多く、その意欲さと熱量にただただ驚かされました。
参加者の皆様も自身の経験を蛤浜でどう役に立てるか、ということを考えながら懸命に、かつ楽しそうにツアー体験をしていました。